差別感情の哲学 [本]
目的なしに書店で偶然見つけた中島義道の本。2009年の書き下ろし。差別感情をもたらす心の動きについて考察。他人に対する否定的感情はともかく、自分に対する肯定的感情がその裏返しとして他者への差別感情につながるとまで。誇り、自尊心、帰属意識、向上心。自分が良くなろうとがんばることは、そのようにがんばっていない人を差別する芽をもっていることにつながる。ん〜厳しいなあ。
「すべての行為に差別感情がこびりついていることを認めない限り、自分は差別していないという確信に陥っている限り、自分は「正しい」と居直る限り、人は差別感情と真剣に向き合うことはないであろう。」「差別感情に真剣に向き合うとは、「差別したい自分」の声に絶えず耳を傾け、その心を切り開き、抉り出す不断の努力をすることなのだ。」
常識といわれるものの中でのほほんと行為するだけの無頓着さは敵だ。
デザインの教科書 [本]
購入してからなかなか読めないでいた本でしたが、デザイン関係の本を集中して読もうという気になったので、積んであるところから引っ張り出して読んでみました。デザインというものをどう考えればいいのかという「デザインって何?」という問いから始まり、その4つの視点について解説しています。視点1心地良さという要因。心地良さを求める行為がデザインするということににつながる。視点2環境そして道具や装置を手なずける。自然や道具や装置をより楽により安全に使いやすくしていく実践がデザインの役割だ。視点3趣味と美意識。趣味は好み、楽しみのことでもあるが、さかのぼると「感覚に関する判断のあり方」としてデザインに密接に関わるものだ。「受け手の美意識」のもとにデザインを実践することが趣味ということ。このことを解説する第7章は民藝運動のことなどにも触れながら興味深い話。視点4地域・社会。デザインが地域性を示したり、社会においてデザインに関する禁制が目に見えないシステムや関係を可視化すること。デザインするということのそもそもの考え方を簡潔に説明してくれた本でした。同著者の「デザインのデザイン」という本が読みかけのまま本棚にあるので、しっかり読んでみようという気になりました。
フォントのふしぎ [本]
サブタイトルの「ブランドのロゴはなぜ高そうに見えるのか?」というのは残念。せっかく写真や図版が多く、NHKの「世界ふれあい街歩き」のような雰囲気の本なのに、下世話な話題で買ってもらおうという下心が見えるような気がして、私としては気に入りません。でもこの本で優れたフォント作家の小林章氏を知り、欧文フォントの背景やフォントというもののあり方の一端を知ることができました。たくさんある欧文フォントひとつひとつに興味が湧いてきました。小林氏の語り口も優しく、わかりやすい。さまざまな書籍や商品で目にするフォントを見る目が変わった気がします。フツラ、トレイジャン、ヘルベチカ、プランタンなどなどお気に入りのフォントになりました。小林氏のもっと専門的な著書「欧文フォント」「欧文フォント2」も読みたくなり注文しました。フォントはおもしろい。












